ワーク簡易自動芯出しマクロ(選択仕様)

機能概要

本自動芯出しマクロは、手動で任意位置までプローブを移動し、その後、起動ボタンを押すことにより、簡単に芯出しを行うものです。
ダミーフレート(DMP)などの立主軸およびライトアングルヘッド(RH)の横主軸も芯出しできます。
次の芯出しが可能です。
 (1)内径/凹溝幅 芯出し
 (2)外径/凸厚さ 芯出し
 (3)基準面芯出し(X、Y、Z軸方向)
計測速度(mm/min)は次のとおりです。
 ・内径/外径計測 1 回目: F500、2 回目: F50  (注) 2 回計測
 ・基準面計測F50                (注) 1 回計測
その他の計測条件(プローブの偏心量、計測時の近付き量、行過ぎ量など)と各キャリブレーションは計測条件設定09452 のサブプログラム内で設定されていますので、最初に使用する前に設定して下さい。ダミープレート(DMP)用とライトアングルヘッド(RH)用がありますが、同じプローブを使用される場合、通常は値を変更する必要はありません。
また、プローブを交換した場合にも再度キャリブレーションなどを計測し、設定してください。
09452: 計測条件設定の例を下記に記載します。

 09452{PROBE.INFORMATION)
 #8570=1
 G65P9451 S1.X0.000Y0.000Z150.000D6.F50.R1000.A5.B5.I0Q4.  プローブ情報の設定
 IF[#10603EQ2]GOTO10(x3) DMP用キャリブレーションの設定
 G65P9460X0Y0Z0I0J0(T1000.DMP.CALIBRATION.) 
 GOTO99
 N10IF[#10615EQ90]GOTO10
 IF[#10615EQ180]GOTO20
 IF[#10615EQ270]GOTO30
 G65P9468X0Y0Z0I0J0(T1100.RH.CALIBRATION.0) 以下RH用キャリブレーションの設定
 GOTO99
 N10G65P9468X0Y0Z0I0J0(T1100.RH.CALIBRATION.90)
 GOTO99
 N20G65P9468X0Y0Z0I0J0(T1100.RH.CALIBRATION.180)
 GOTO99
 N30G65P9468X0Y0Z010J0(T1100.RH.CALIBRATION.270)
 N99M99

〇注記
 プローブ情報(O9451)およびキャリブレーション(O9460)の設定方法については、「■ プローブ情報」、「■ キャリブレージョンの設定」を参照してください。

ライトアングルヘッド(RH)での使用方法

・芯出しできる割出し角度は0°、90°、180°、270°の90°毎です。
 それ以外の角度はアラームになります。
・横主軸用の呼出し方法は、立主軸用のプログラム番号に+10した番号です。

No. 機能 立主軸用 横主軸用
1 内径/凹溝幅芯出し G201 G211
2 外径/凸厚さ芯出し G202 G212
3 基準面芯出し G203 G213

・軸方向,引数の考え方は、弊社の5面加工ソフトの考え方で指令します。また、ワーク座標系の設定は、RHのATT. データをオフセットして設定します。
(三次元座標変換は実行しません。)

・RHで内径芯出しをする揚合
   G211W55.X50.Y50.;     と指令します。
 計測後、RHのATT. データをオフセットしたY軸とZ軸のワーク座標系を設定します。(設定する軸は割出し角度により違います。)
・RHで工具軸方向に基準面芯出しをする揚合
   G213W55.Z-20.;      と指令します。
 計測後、RHのATT. データとプローブ長をオフセットしたX軸のワーク座標系を設定します。(設定する軸は割出し角度により違います。)
・芯出し後、その座標で5面加工ソフトを実行する場合
   G180C55.B0X0Y0Z0;   と指令します。

プローブ情報(内部マクロ)

プローブの寸法、計測時の送り速度などを指定します。

1.マクロ呼出し指令

  G65 P9451 Ss Xx Yy Zz Dd Ff Rr Aa Bb Ii Qq;

s計測スキップ回数
既に計測スキップ回数がコモン変数#500に設定されているときは、s=0としてください。
x , yプローブ先端球部中心の主軸中心に対する偏芯量
zプローブの長さ(必す設定してください)
dプローブ先端球の直径
図2のようなクロス形(十字形)のプローブの場合には、図のd寸法を指定してください。
f , r計測送り速度および早送り速度
a , b計測時の近付き量および行過ぎ量
q内径/外径の計測法を指定します
· q=3.—3点計測
· q=4.—4点計測
無指定のときは4点計測になります。
iプリンタON(i=1) /OFF Ci=0)

2.説明

・最初の呼出しにてすべての値(s~q)を指定します。
・プログラムの途中で一部の値を変更する場合は、その値のみ指定します。
 ただし、引数Ssはプログラムの途中では指定できません。
・計測時、プローブは計測面の手前aまでは、指定された早送り速度rで移動し、そこから計測面に接触するまではfの送り速度で移動します。
 ここで、r≦最大切削送り速度としてください。(機械の早送り速度ではありません。)
・計測面のあるべき位置を距離bだけ行き過ぎてもプローブが計測面に接触しないときは、計測開始点に戻り、アラームとなります。
・クロス形のプローブを内径/外径計測するときは、4点計測のみ可能です。
・高精度計測の揚合、送り速度fはNCでパラメータ設定する必要があります。
 この場合、fの値をプログラムの途中で変更することはできません。
・通常はa=b=5mm、f=50mm/min、r=1,000mm/min程度にします。
・プローブの偏心量x、yは、G241(プローブ偏心量計測)によって求めることができます。
・プリンタを使用する場合は、最初にi1.を指定し、すべてのプリンタ出力が終了したらi0.を指定します。
(途中で一時的にOFFにし、再度ONにすることもできます。)プリンタがない場合は、引数Iiは指定しないでください。
・各種計測補正用マクロの呼出しに先立って、このマクロにより計測条件を設定します。

キャリブレーションの設定

プローブの感度や信号の遅れを考慮して、プローブがワークに接触して、実際に信号がONするまでの距離(キャリブレーション)を補正する必要があります。各軸方向のキャリブレーション値を事前に求め下記マクロで設定します。

1.マクロ呼出し指令

G65 P9460 Xx Yy Zz Ii Jj ; (DMP用)
G65 P9468 Xx Yy Zz Ii Jj ; (RH用)

xX軸プラス側のキャリブレーション(X+からX-方向に移動)
yY軸プラス側のキャリブレーション(Y+からY-方向に移動)
zZ軸プラス側のキャリブレーション(Z+からZ-方向に移動)
iX軸マイナス側のキャリブレーション(X-からX+方向に移動)
jY軸マイナス側のキャリブレーション(Y-からY+方向に移動)

RHのときも同じプローブであればRH用のキャリブレーション値もDMPと通常同じとします。ただし、DMPとRHでの微小な差異を調整する場合は値を設定してください。
RHで計測する場合は、
  引数Xは5面加工時のJに相当します。
  引数Yは5面加工時のXに相当します。
  引数Zは5面加工時のZに相当します。
  引数Iは5面加工時のYに相当します。
  引数Jは5面加工時のIに相当します。
マクロ内で計測方向により自動でキャリブレーションを求めています。

各芯出しマクロの指令方法

各芯出しマクロの指令方法は、下記のとおりです。なお、引数には必ず小数点を付けてください。

1.内径/凹溝幅芯出し(G201,G211)

プローブを内径中心付近へ手動で位置決め後、本マクロを実行します。

 G201 X-Y-W-C-; (立主軸用)
 G211 X-Y-W-C-; (横主軸用)

 X: 内径(X 軸方向を計測する時に指定)
 Y: 内径(Y 軸方向を計測する時に指定)
 W: ワーク座標系 G54~G59のときW54.~W59.とします。
          G54.1P1~P48のときはW101.~W148.とします。
 C: 手動位置決め点の最大誤差(真の内径中心に対する誤差)
   省略時はC=20mmとなります。

・引数X, Y を指令すると内径芯出しを行い、引数XまたはYのみ指令するとX方向またはY方向のみ計測し、凹溝の芯出しを行います。

2.外径/凸厚さ芯出し(G202、G212)

プローブを外径中心上方付近へ手動で位置決め後、本マクロを実行します。

G202 X-Y-Z-W-C- ; (立主軸用)
G212 X-Y-Z-W-C- ; (横主軸用)

 X: 外径(X軸方向を計測する時に指定)
 Y: 外径(Y軸方向を計測する時に指定)
 Z: Z軸移動量(負の値) (注)添付のフローチャートを参照してください。
 W: ワーク座標系 G54~G59のときW54.~W59.とします。
          G54.1 P1~P48のときはW101.~W148.とします。
 C: 手動位置決め点の最大誤差(真の外径中心に対する誤差)
   省略時はC=20mmとなります。

・引数X. Y を指令すると外径芯出しを行い、引数XまたはYのみ指令するとX方向またはY方向のみ計測し、凸厚さ芯出しを行います。

3.基準面芯出し(X、Y、Z軸方向) (G203、G213)

プローブを基準面の手前付近へ手動で位置決め後、本マクロを実行します。

 X: X 軸方向移動量(±)
 Y: Y軸方向移動量(±)
 Z: Z軸方向移動量(-)
 W: ワーク座標系 G54~G59のときW54.~W59.とします。
          G54.1P1~P48のときはW101.~W148.とします。

〇注記
 X-、Y-、Z-は現在位置(手動位置決め点)から基準面までの距離(符号付)を指定します。

以上